日本国債と金利の関係
日本国債(JCB)と金利の関係について、深く掘り下げていきたいと思います。
まず、金利には大きく分けて「長期金利」と「10年物国債の利回り」という2つの概念があります。
長期金利はいろいろな使われ方をするので、厳密には10年国債の利回りだけとは限りませんが、一般的には10年国債の利回りを長期金利と呼びます。
一方、短期金利は、中央銀行の政策金利とされています。
中央銀行である日本銀行は、現在、金融緩和政策を実施しています。
日銀の現在の金融政策は、長短金利を操作し、イールドカーブ(債券の利回り(金利)と償還期間との相関性を示したグラフ)をコントロールすることです。
短期金利については、政策金利の残高に-0.1%のマイナス金利を適用し、長期金利については、日銀が長期国債を購入し、10年国債金利を0%程度に抑えているのです。
これが日銀のやっていることです。
要は長期金利は0%になるように調整し、短期金利は今マイナスになるように調整するということですね。
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債券や金利の仕組み
まず、債券に投資して得られる利益には2種類あって、1つはインカムゲイン(株式や債券などの資産を保有中に得られる収益のこと)と呼ばれる利息で、もう1つはクーポン(利付債に付いている利息のこと)と呼ばれることもあります。
もうひとつはキャピタルゲイン(株式や債券など、保有している資産を売却することによって得られる売買差益のこと)で、これは債券の価格に対するリターンです。
もう一点は、国債は国の借金であるということです。
その借金には、いつ返済されるかという償還期限がありますが、償還時の金額は変わらないということが、一番重要な確認事項です。
債券と金利の関係を考える上で、ここが一番わかりにくいところです。
償還時の金額が変わらないから、「債券の価格と金利は反対方向に動く」と言われるわけです。
債券価格と金利が反対であることは漠然と理解されているかもしれませんが、具体的になぜ反対方向に動くのかを説明したいと思います。
例えば、10年物の日本国債を見ると、厳密には利札がありますが、それは先ほどのインカムゲインのことです。
簡略化のため、この部分はとりあえず省略します。
10年国債は国が発行する債券で、発行体が「お金を貸してください」というので、国が発行体にお金を貸しているのです。
10年国債は、貸した100万円のお金を10年後に返してもらう権利です。
そして、貸したからには、そのお金が返ってくるようにしなければならないのです。
償還時に返還される金額は決まっています。
100万円貸したのだから、100万円は返ってきます。
10年後に100万円が返ってくるという権利は、現在、市場で売買されています。
今80万円で買って、10年後に100万円になれば、利益が発生するわけで、これを利回りといいます。
厳密には利息分を足したものが総利回りですが、ここでは簡略化しました。
では、日本国債を買って証券取引所に上場するとどうなるかというと、10年後に戻ってくる100万円の価格は変わりません。
そして、それが現状です。
今、日本国債の値段は90万円です。
日本国債や債券の価格が上がると、こちらの利回りは下がっていきます。
利益が減っていくのです。
逆に国債が売られて国債の値段が下がると、そう、今の値、国債の値段が下がると、こちらの利益が増えるので、利回りが上がります。
債券価格が下がると金利が上がる、、、こういう関係です。
なぜこうなるかというと、10年後に返ってくるお金は決まっているからです。
動くのは現在価値だけです。
普通、株を買えば、将来価格が変わりますよね。
しかし、債券の場合は将来の価格は変わらず、現在の価格だけが動くので、債券価格と金利の関係が逆転してしまうのです。
ここが、債券と金利の関係でわからない点です。
これが理解できれば、いろいろなことが見えてくると思います。
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イールドカーブ
イールドカーブですが、国債にはいろいろな長さのものがあります。
10Yは10年債、10年国債、20年国債、40年国債、そして超長期国債です。
短期債の場合は、1年、2年、半年など、期間の長さはさまざまです。
各期間と利回りの関係はイールドカーブとして表現されます。
マイナス金利
マイナス金利とはどういうことでしょうか。
10年物日本国債がマイナス金利になるということは、10年後に戻ってくるお金、100万円が変わるということです。
現在の価格は110万円だから、利回りはマイナスということです。
「いやいや、そんなことはない。10年後に100万円しか返ってこない家を、今110万円で買う人がいるんですか?今、110万円のローンを110万円で買う人なんているの?」みたいな話です。
まあ、そうなんですが、買っちゃうんですよ、みんな。
なぜかというと、後で日銀が買ってくれるからで、だから日本国債は利回りがマイナスでも買われるのです。
以上をまとめると、金利と日本国債の関係で言えば、金利が急上昇するということは、日本国債の価格が急落するということです。