今回のテーマは、「金利の仕組み」です。
日常生活で「金利」という言葉を耳にすることはあっても、「金利」と言われてもどんなテーマなのかピンとこない方も多いのではないでしょうか。
普段、金利について深く考えることはありませんが、実は金利は経済などを学ぶ上で非常に基本的な要素であり、随所に登場する重要な言葉なのです。
今回は、金利とは何かというごく基本的なことから、金利がどのように上昇・下降するのかを掘り下げていきます。
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金利の仕組み
まず、金利の仕組みについて考えてみたいと思います。
金利というのは広い意味で使われていますが、簡単に言うとお金を貸したり預けたりしたときの報酬という表現になります。
例えば、BさんがAさんから100万円を借りたとすると、Aさんはそのまま100万円を受け取ります。
Bさんが100万円をそのまま返せばいいのですが、よほど強い信頼関係がない限り、Aさんにはリスクがないわけではありません。
Bさんは100万円を持って溺死するかもしれないし、逃げないまでも全く返さないかもしれません。
そこで、2人は101万円を1年後に返すという約束で貸し借りをすることにしました。
つまり、借りた100万円を101万円という形で、感謝の気持ちを込めて返すのです。
この場合、もともと借りたお金を元金または元本といい、それに加算される1万円を利息または支払利息といいます。
一般に金利とは、元金に対してどれだけの利息を支払うかの割合のことです。
この例では、元本100万円に対して利息が1万円で、101万円を1年で返す約束なので、利率は年率1%と表現されます。
金利は通常年率で表現されますので、このやり取りは「AさんがBさんに100万円を金利1%で貸した」と表現されるのが一般的です。
そして、金利は融資だけでなく、銀行預金にも使われます。
預金とは、言い換えれば、私たちが銀行にお金を貸していると捉えることができます。
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金利は、貸す側と借りる側の状況によって変化する
最も重要なのは、借り手の返済能力です。
100万円を貸し借りする場合を例にとって考えてみましょう。
安定した職業に就き、そこそこの収入があるBさんと、定職に就かず、月によって収入が異なるCさんでは、貸す側のリスクは全く違います。
Bさんの場合、よほどのことがない限り返済してくれることが予想されるので、貸す側のAさんは「3万円くらい増えても返済してくれれば十分だ」と考えることができます。
そこで、金利3%で融資を行うことにしました。
一方、収入が不確定なCさんに多額のお金を貸すのはリスクが高いと思われます。
このようなリスクを考えると、AさんはBさんに3万円程度の金利で貸すことはできません。
そこで,AさんはCさんに15万円の利息を要求することにしました。
つまり,110万円を115万円で貸すということです。
100万円を115万円という形で返さなければならないので、金利は15%ということになります。
このように、金利は相手の返済能力、広い意味で言えば借り手の信用度によって大きく変化するのです。
政策金利
現在の日本では、過度な高金利は法律で禁止されていますが、概ね自由に金利を決めることができます。
しかし一方で、政府がゼロ金利政策やマイナス金利を導入していることをニュースで耳にすることがあると思います。
簡単に言うと、世の中の金利のベースを政府が決めることで、政府が公式に決めた金利を政策金利と呼びます。
政府が決めた金利なので、民間の取引はこの政策金利を基準に行われるというのが基本的な考え方です。
では、具体的に政府はどのようにして政策金利を決めているのでしょうか。
政策金利は、日本の中央銀行である日本銀行が決定・調整しています。
政策金利の仕組みについて詳しく説明するとかなりの時間がかかるので、この話題は割愛します。
日本では、政策金利は長い間、ゼロ以下に設定されてきました。
政策金利がゼロ以下なので、私たちが銀行預金で得られる利息もゼロ以下です。
通帳の取引履歴を見ると、年に2回、「利息」と書かれた部分に数円、数十円の預金があります。
これが預金の金利で、平均0.001%と言われているわけです。
金融緩和
では、なぜ日銀は政策金利をゼロに近づけているのでしょうか。
金利と景気には密接な関係があります。
金利が高ければ、お金を借りたい人とお金を借りられる人が減り、景気が悪くなります。
つまり、新しいビジネスを始めたいと思っても、金利が高ければ、儲けよりも多くの利息を支払わなければならず、結局赤字になってしまうのです。
逆に、金利が低いと、お金を借りたい人が増え、お金を借りられる人が増え、景気が上昇します。
金利が低ければ、支払うべき利息の額が減るので、新しい設備などを積極的に購入することができるようになります。
日銀はこの仕組みを利用して、景気が極端にならないように調整しているのです。
景気が過熱するとバブルのような状態になるので、日銀は金利を上げて世の中にお金が回り過ぎないようにします。
これを金融引き締めと呼ぶこともあります。
逆に、景気が悪くなると、みんながお金を使いやすくするために金利を下げます。
これを金融緩和といいます。
日本は長い間、この金融緩和の状態にありました。
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金融緩和の流れ
この流れを詳しく見てみると、日本はバブル崩壊後の1990年代前半から平成不況に直面し、低金利政策を実施してきました。
2000年頃、政策金利はほぼゼロに設定されました。
2006年に日銀は一旦利上げを決定しましたが、2008年のリーマンショックで再び利下げを行い、再び政策金利はゼロ近辺に設定されました。
さらに、日銀は金利を深掘りする目的で、2016年にマイナス金利を導入しました。
マイナス金利はより高度な理解が必要なので、詳しい説明は別の機会に譲ることにします。
この政策金利の影響は、政策金利が上昇すれば、世の中の金利のベースが上昇することです。
一番わかりやすい例は、住宅ローン金利です。
1980年代まで6%~8%だった過去と比較すると、現在は年2%台まで下がっています。
先にお伝えした平成不況後の金利引き下げ局面や、2006年から2年間ゼロ金利が解除された時期を見ると、政策金利の変化とほぼ一致していることがわかります。
ちなみに、強力な金融緩和による銀行間の割引競争により、住宅ローンの変動金利は、実は1%台を割って取引されているとも言われています。
このように、政策金利は日本におけるすべての金利のベースの調整と見ることができます。
政策金利は現在の金利を表す短期金利と考えることができますが、経済ニュースでは「長期金利」という言葉をよく耳にします。
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まとめ
金利とは、簡単に言えば、お金を借りたときに、その見返りとして支払う金額のことで、いくら支払うかは、基本的に借りる側の信用度によって決められます。
その中で、日銀が設定する政策金利は、政府が決めるものです。
いわば、基準金利です。
日銀は、低金利だと借り手が増え、高金利だと借り手が減ることを利用して、政策金利を上げ下げして経済状況を調整します。
そして今、長引く不況と低成長を反映して、日本の金利はマイナス圏にあります。