今日は、「保険で高利回りは可能か」について解説したいと思います。
結論から言うと、貯蓄型保険はすべてゴミで役に立たない商品です。
その理由を説明します。
保険料控除についておさらい
手取りが多い人になるには、控除額を増やすことがポイントです。
しかし、サラリーマンはほとんど経費がかからないので、控除額を増やすことが重要です。
そこで、保険料控除を増やすことが重要です。
保険料控除にはいくつかの種類があります。
保険料控除には、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除など、いくつかの種類があります。
つまり、例えばサラリーマンであれば、生命保険料として8万円、個人年金保険料として8万円を控除することができるのです。
控除はセールストークでよく使われます。
控除額を増やすということは、あくまでお金を取り戻すための手段ですから、払いすぎた税金は戻ってきますが、控除額だけが全てではありません。
控除を増やすことでお金が戻ってくるのは嬉しいことです。
そこで、心理的な面を利用して、「この控除が受けられるから、保険がいいですよ」といったセールストークがよく使われるのです。
これはセールストークとしてよく使われます。
では、一見するとお得に見えるのに、なぜ悪い商品なのでしょうか。
⇒生命保険加入や資産運用の知識が豊富な家計のプロが幸せな生活を送るための人生設計を多角的にアドバイスします。
例)運用利回りだけで7%
例)「保険自体の利回りはそれほど高くないが、減税やクレジットカードのポイントなどを考えると運用利回りだけで7%になる」と保険会社から言われたとします。
あまり細かい数式を出すと頭が痛くなるかもしれませんので、ざっくりと説明します。
生命保険に月9,000円、年金保険に月10,000円かけると、保険料控除による節税効果やクレジットカード払いで1%のポイントがつくことを考えると、この保険にトータルで加入すると7%の利回りになると保険会社は主張しています。
もちろん、その人の収入にもよります。
この点を明確にしたいと思います。
あなたは、生命保険と年金保険の2つの保険に加入しています。
生命保険に毎月9,000円、つまり年間108,000円かけると、30年間で積み立てる金額は324万円、30年後には356万円になります。
つまり、積み立てた金額が32万円増えるわけですから、払い込んだ金額より32万円増えることになります。
そして年金保険ですが、毎月1万円ずつ使っていくと、年間12万円になり、30年間の積み立て総額が360万円だったものが、432万円に増えます。
要するに72万円増えるということです。
生命保険は32万円、年金保険は72万円増えます。
クレジットカードの1%のポイントで年間22,000円ですから、30年間で66万円得することになります。
つまり、まとめると、自分で積み立てた金額は、生命保険が324万円、年金保険が360万円、合計684万円を30年かけて積み立てたことになります。
それが854万円に増えたことになります。
しかし、この時点で「7%にしては・・・」というような、ちょっとした違和感を感じていただければ、とても良いことです。
お金のリテラシーがずいぶん向上したということです。
関連記事:ポイント高還元とステータスを兼ね備えたコスパ最強プラチナカード「UCプラチナカード」
数字のトリック
毎月19,000円ずつ積み立てていますよね。
毎月19,000円ずつ積み立てて、7%で増えていくと、30年後にはいくらになっていると思いますか?
先ほどの例の場合、854万円まで増えました。
684万円に7%をかけて30年間積み立てると854万円となり、実際に年率7%で30年間増えた場合、毎月1万円ずつ30年間積み立てるといくらになると思いますか?
総額で2318万円になります。
楽天の積立シミュレーターを使うと、毎月19,000円を年利7%で30年間積み立てた場合、積立総額は23,180,000円になるはずですが、保険を使った場合は8,540,000円になることがわかります。
両者の違いは何でしょうか?
節税やクレジットカードのポイントは、初年度のみ有効です。
保険会社は、カードポイントや節税で年間10万円たまると、カードポイント、節税、保険で合計年間7000円得するということです。
つまり、利回りは7%です。
お分かりいただけたでしょうか?
年間10万円積み立てると、カードのポイント、節税、保険のお金を合わせて年間7,000円得するはずです。
これはあくまで1年目の話なので、単年度の利回り7%というのは数字のトリックに過ぎません。
保険の計算の場合、複利が雪だるま式に増えていくわけではない
例えば、インデックス投資の場合、複利で増えていきますが、この保険の計算の場合、複利が雪だるま式に増えていくわけではありません。
関連記事:インデックス投資の始め方!?メリット・デメリットも解説。
単年度の利回りは7%です。
684万円が30年で854万円になったということは、30年複利で計算すると年利は1.4%。
複利で1.4%というのは、ゴミのような商品です。
全くダメとなると、資金拘束、保険会社の倒産など様々なリスクがあります。
他のリスクも背負わなければならないのであれば、全く良い商品とは言えません。
まとめ
大切なのは、まず支払うべき総額、そして節税を含めた受け取るべき総額を把握することです。
その上で、複利計算をしたときに、その結果が低利回りであれば、ダメな商品ということになります。
単年度の利回りが7%というのは、数字のトリックに過ぎません。
もっと簡単に言うと、トータルでいくら払ったか、何年払って結局いくらになったのか、利回りは何%なのかが非常に重要なのです。
その利回りがインデックス投資や市場金利と比べてどうなのか、ということです。
市場金利を知ることが重要です。
先ほど複利が1.4%と聞いて、1.4%増えたらいいなと思った人は、まだ市場金利を知らないんです。
スーパーで自分だけ1パック500円もする高いもやしを買っていて、相場を知らなかったら、これが高いものだと気がつかないでしょう。
投資の相場だったら1.4%も悪くないかなみたいな、銀行の預金に比べたらいいかなとかって思ってしまいますよね。
1.4%という利回りは、投資としては非常に低いものです。
だから、本質をつかんでいれば、惑わされることはありません。
ポイントや節税などを考えたほうが得策です。
それはあくまで枝葉であって、ビジネスの本質や軸ではありません。
要は、そんなに難しい計算ではないのです。
結局、保険は保険ですから、掛け捨てすればいいだけの話なんです。
この話をすると、保険会社や保険屋が悪いとは言いませんが、保険には保険の意味があり、保険会社の投資商品を買う必要はない、と言っているのです。
車を持っていない人には自動車保険は必要ありません。
保険で投資を考えているのであれば、もう何も考えずにVTかVTIを買えばいいのです。
結局、日本では高利回りの保険商品はありません。
今後そのような商品が出てくる可能性はゼロではありませんが、制度の仕組み上、今後出てくることはないかと思います。