今回は、65歳で余剰資金が2000万円ある場合の投資方法についてお話します。
老後のために、いつ、どのように投資すればいいのか、迷っている人は結構多いと思います。
しかし、この分野は、ご自身のリスク許容度など、置かれた環境によって考え方がかなり変わってくる部分です。
「これが正解です」という答えを出すのは難しいです。
そこで今回は、記事の前半で今回のケースに合わせた投資方法を説明し、後半で同じ状況だったらどうするかということを説明したいと思います。
この記事をご覧いただければ、老後の資金が多い場合の投資方法と、それが自分に向いているかどうかがお分かりになると思います。
ぜひ最後までご覧ください。
老後の資産運用の結論は、収入や資産の状況によってかなり変わってくる
老後の資産運用の結論は、収入や資産の状況によってかなり変わってくると思います。
初心者の方は積み立てで安全に投資することをおすすめしてきました。
しかし、防げる資金が多い場合や手持ちの資金が多い場合、そのような場合は一括で投資をするのが合理的です。
というのも、一括投資は積立投資よりも高いリターンが得られる確率が高いからです。
また、未投資のお金を持っているということは、お金が遊休化している状態とも言えます。
もし投資していれば、お金を得ることができたはずですが、置いておくことで機会損失を生んでしまっているのです。
ですから、「貯蓄だけではインパクトのあるリターンが得られない」と感じているのは正しいことです。
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一括投資するときと、もともと投資してきたときに負うリスクは変わらない
しかし、一括で投資しようとすると、「ちょっと待てよ、この金額を一括で投資するのはリスクが高すぎるのでは?」
と感じる方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
たしかに、1000万円や2000万円といった大金を一括で投資することは、誰にとっても勇気のいることです。
しかし、そのような多額の一括投資はリスクがあるのかと問われると、リスクはないと考えています。
というのも、そもそも一括投資するときと、もともと投資してきたときに負うリスクは変わらないからです。
例えば、一括投資で一番怖いのは、投資した直後に価値が急落することで、2000万円投資して、いきなり半分になったら1000万円の損失です。
しかし、冷静に考えてみてください。
資産が半減する可能性は、一括投資に限ったことではありません。
今まで資産運用をしてきた人も、同じように暴落して資産の半分を失うかもしれません。
仮に投資を続けて、65歳で資産が2,000万円になったとします。
すると、アメリカの大統領選挙があり、相場が不安定になったり、暴落したりする可能性があります。
それでも、投資をやめない方がいいでしょう。
なぜなら、10年、20年という長期的な視点で投資をしているからです。
長期投資をしていれば、暴落の可能性があっても売る必要はありません。
なぜなら、プロでも相場を予測することは難しいからです。
”相場が暴落すると思って株を売ったのですが、そこまで暴落せず、さらに上昇しました。”
このようなことは、初心者によくあることです。
ですから、長期投資家の立場からすると、目の前に暴落が来る可能性があるのであれば、長期的に投資を続けた方が良いのです。
投資を長く続けていて2000万円あれば、暴落の可能性があっても投資をやめないでしょうが、2000万円を一括で投資しているのであれば、暴落が来るのが怖くて投資しないのはおかしいと思いませんか?
どちらの場合も、50%暴落したら1000万円損するという事実は同じであり、期待できるリターンも同じです。
つまり、合理的に考えれば、一括投資に特別なリスクはないのです。
しかし、いくら一括投資が合理的とはいえ、これまで投資をしたことがない人が、いきなり1000万円を失うような暴落に見舞われたら、気が狂いそうになるはずです。
特に、過去に暴落を経験したことがない人ならなおさらです。
これは合理性とかそういう問題ではなく、人間の心やメンタリティの問題です。
だから、やはり投資に慣れていない人が一括で投資するのはお勧めできません。
関連記事:多額の資金をどのように運用すればよいのですか?分割払いでいつまで投資すればいいのですか?
暴落に見舞われても比較的冷静にいられるような金額に分割する
ただ、余剰資金が2,000万円あって、毎月8万円ずつ投資のために貯めているのでは、正直言ってもったいないです。
ですから、この場合は一旦休止して、2,000万円を半年や1年に分割して投資するのが良いと思います。
何回に分ければいいのか、正解はありません。
暴落に見舞われても比較的冷静にいられるような金額に分割してみてください。
人によっては月100万円でも大丈夫かもしれないし、200万円ならそれほど気にならないかもしれないので、本当に答えは人それぞれです。
ただ、覚えておいていただきたいのは、分割投資を終えて2000万円投資できる状態になった後、一括投資のときと同じように暴落に見舞われると資産が半減する可能性があることです。
分割投資中に暴落した場合は、一括投資のときよりも精神的に楽かもしれませんが、分割投資を終えた後に暴落した場合は、どちらも同じことになります。
この点を考えると、分割投資をしている期間は、投資に慣れるための期間と言えるのではないでしょうか。
投資に慣れるために1年かけたいのであれば1年分割、とても心配で3年かけたいのであれば3年分割とすればよいでしょう。
ただ、個人的な意見としては、あまり長い期間に分けると、それなりの機会損失が発生するので、せいぜい1年程度にとどめておいた方が良いと思います。
ちなみに、一例ですがまず預金を1,000万円以下に抑えます。
これはペイオフに対応するためです。
銀行が破綻した場合、預けたお金は1000万円までしか保証されないので、大きな金額を預金として預けるのは危険です。
投資信託なら、数億円でも保証されるから安心です。
「いやいや、複数の銀行に振り分ければ1,000万円以上保証されてもいいんじゃないですか?」っていう人もいると思うんですよ。
ただ、個人的には、日常生活で必要なお金以上のお金を現金として持っているのは、もったいない気がします。
それなら、代わりに投資に回して、お金に稼いでもらった方が個人的には幸せです。
また、現金はインフレに弱いので、何かすぐに必要な時以外は、現金は持たない方がいいと思います。
そして、残ったお金を投資に回すと思います。
投資に回すお金の半分は世界の株式に投資し、残りの半分は債券に一括で投資する。
この状態を作ってしまえば、あとは残りのお金をずっと運用していくだけです。
年に一度、株式と債券の配分がちょうど半分ずつになるようにリバランスする必要がありますが、基本的にはこのままでよいでしょう。
十分に生活できる収入があれば、資産を取り崩す必要はなく、投資を続けることができます。
逆に、生活するのに十分なお金がなく、資産を取り崩す必要がある場合は、年率4%だけ取り崩すことになります。
例えば、4,000万円を運用している場合、年率4%の資産を取り崩せば、年間160万円を受け取ることができます。
そうすると、月々13万3千円となり、年金と合わせれば十分生活できます。
この方法は、インデックス投資で有名なウォール街のランダム・ウォーカーで紹介されています。
この方法で運用すれば、100歳になっても延命しながら資産運用できる可能性がかなり高いのです。
資産を失うのが怖いという方は、引き出し率を4%ではなく3.5%に設定することで、毎年引き出せる金額を少なくすることができます。
もっと積極的に運用したい場合は、株式75%、債券25%の運用を選択することも可能です。
引き出しながら、かなり資産を増やすことができるかもしれません。
実は、この逆転の発想ができる便利なサービスがすでにあるのです。
それは、SBI証券と楽天証券が提供している「投資信託の定期売却」というサービスです。
SBI証券は毎月一定額しか売却できませんが、楽天証券は低レートで売却できるため、老後の資金を引き出しやすくなっています。
今は便利な世の中なので、こういったサービスを利用するのは良いことだと思います。
ただし、この方法は、ある程度資産運用の経験がある人向けです。
前半にも書きましたが、一括投資はそれなりの精神力が必要ですので、不安を感じる方は1年、2年に分けて投資するのがよいでしょう。
まとめ
ということで、今回は「65歳で余剰資金が2000万円ある場合の投資方法」についてお話しました。
まとまった資金がある場合は、早めに一括で投資したほうが機会損失を防げますが、それにはかなり強いメンタルが必要です。
投資で睡眠不足になるのが怖いという人は、冷静になれる範囲で分割して投資したほうがいいと思います。
うまく投資すれば、100歳まで資産が尽きずに生きられると思いますので、ぜひ定率4%の引き出しを活用してみてください。