今回は「投資を続けられない理由」というテーマでお話します。
この記事を見ている方は、投資をしている、もしくはこれから始めようとしている方だと思います。
銀行にお金を貯めていても、お金は増えない。
そうすると、20年、30年という長期で、米国株や世界株に投資しようと考えているはずです。
現在、つみたてNISAなどのお得な制度があり、その考え方はとても素晴らしいと思います。
しかし、現実には大多数の人が投資を途中でやめていることをご存知でしょうか?
ある統計データによると、投資信託の平均保有期間は3年程度だそうです。
現実には、20年、30年と投資を続けられる人は、ごくわずかなのです。
そこで今回は、なぜ多くの人が投資をやめてしまうのか、その理由を考えてみたいと思います。
この記事を読めば、長期的に投資を続けられるようになり、結果的に大きな資産形成につながるはずです。
ぜひ、最後までご覧ください。
長期投資は続ければ勝てる可能性が高い
冒頭で、「長期投資は続ければ勝てる可能性が高い」というお話をさせていただきます。
今回の内容の前提条件として、少しお付き合いください。
まず、アメリカの超有名な株価指数である「S&P500」を参照ください。
簡単に言うと、S&P500に連動するインデックスファンドを買えば、GoogleやAmazonなどの米国上位500社に分散投資することができます。
「つみたてNISA」でも人気の銘柄です。
関連記事:つみたてNISAとNISAについてわかりやすく解説!
S&P500は短期的には変動していますが、長期的には安定的に大きく成長しています。
では、もしS&P500に20年間投資を続けていたらどうなっていたかを考えてみましょう。
2002年1月から2021年12月まで、ちょうど20年間、毎月2万円ずつ投資していたとします。
この場合、積み立てた金額は年間24万円を20年間、つまり480万円で、投資総額は1,522万円となります。
つまり、S&P500に毎月2万円ずつ20年間積み立てたとすると、複利の力で投資額は3.2倍になっていたことになります。
もちろん、これはあくまで過去の話であり、将来どうなるかはわかりません。
しかし、世界経済、米国経済は今後も成長を続けることが予想されます。
つまり、20年、30年というスパンで長期投資を続ければ、利益を上げられる可能性が高いのです。
しかし、現実には、多くの人がそのような長い期間、投資を続けることはできません。
冒頭でも言った通り投資信託の平均保有年数は3年ほど、つまり3年程度で売ってしまいます。
「投資を続ければ勝てる」なんて昔から言われていたことだと思うのですが、現実に地道な積み立て投資をしてお金持ちになった人の話を聞いたことがありますか?
少なくとも、私はありません。
だから、現時点で5年、10年と投資を続けている人はかなりすごいと思います。
日本では投資が根付いていないからだと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、投資大国であるアメリカでも、投資信託の平均保有期間は日本と同じように3年程度です。
この乖離の理由について、これからお話ししますので、ぜひ聞いてください。
関連記事:NISAやiDeCoの運用方法やしっかり増やすための商品選定が自分でできるようになります
投資をやめてしまう5つの理由
多くの人が投資をやめてしまう理由を5つ紹介しましょう。
理由を知ることで、辞めずに投資を続けるきっかけになればと思います。
投資を続けられない理由1:含み損に耐えられない
まあ、これが一番大きな理由です。
簡単に言うと、お金を増やすために行っている投資で、自分の資産が減ってしまう状況が発生すると、それに耐えられず辞めてしまうのです。
そもそもなぜこのような状況が起こるかというと、よくあるシミュレーションに起因しています。
例えば、年利5%で毎月3万円を20年間積み立てると、複利の力で20年後には1,200万円になるとします。
これを見て、自分の資産が毎年着実に増えていくような気がした人も多いと思います。
しかし、残念ながら現実はそう単純ではありません。
確かに資本主義の中で世界経済は順調に成長することが期待されています。
しかし、それはあくまで浮き沈みを繰り返しながら、長期的に経済が成長していくイメージです。
実際、S&P500の平均利回りは年9%程度ですが、2000年代は非常に低迷しています。
毎年利益が出ると思っていると、いざ暴落が来たときに「思ったのと違う」と感じるはずです。
まあ、一度下がった値段は、もう戻らないんじゃないかと誰もが心配するものです。
また、人は本能的に損失を嫌いますから、下がっている資産を買い続けるというのは、本能に反する非常に難しい合意なのです。
その結果、不況になり、資産が減少している状態になると、投資をやめてしまうのです。
しかし、含み損に耐えられないから市場から退場するというのは、最もご都合主義的な行動と言えるでしょう。
「S&P500に20年投資し続けていたら、この間にリーマンショックが起きていた」という事例があります。
先ほども言いましたが、2002年から20年続けていれば、1042万円のプラス、つまり3.2倍になっていたのです。
しかし、リーマンショック直後の2008年9月に辞めていたら、-27万円でした。
もちろん、これも結果論ですが、長期的な成長を目指して投資している以上、短期的な変動や暴落は避けられません。
ですから、シミュレーションは机上の空論に過ぎないことを理解し、たとえ含み損があっても投資を続ける強さが必要だと思います。
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投資を続けられない理由2:バブル期の苦い思い出
日本人の中には、「投資はギャンブルだから損をする」という価値観がまだ根強く残っています。
これは、金融教育などの影響もありますが、バブル崩壊を多くの人が経験したことが原因だと思います。
日経平均株価は1989年まで右肩上がりでした。
当然、当時は日本に投資することが正解でした。
しかし、日経平均株価はバブル崩壊とともに暴落し、現在も最高値を更新していません「。
つまり、バブル崩壊で大損した人たちが上の世代を中心に一定数存在し、その影響で投資に対してネガティブな印象を持っている人たちが多いのです。
この場合、せっかく投資を始めても、相場が下がると、「やっぱり投資はギャンブルだったんだ」と感じる人もいるのではないでしょうか。
また、バブル崩壊を経験した先輩から「ほら、だから投資はやめなさいって言ったでしょ」と言われる方もいらっしゃいます。
まあ、バブル崩壊の影響で投資を辞めた人もいると思います。
しかし、人はどんなことがあっても、その環境に大きく影響されるという前提は押さえておく必要があります。
全米経済研究所の調査によると、投資で取るリスクの度合いは、知識や教養よりも、いつ、どこで生まれたかという偶然の要素が最も影響するといいます。
例えば、インフレの時代に育った人は債券への投資が少なく、株式市場の好調な時代に育った人は株式への投資が多くなる傾向があります。
考えてみれば、理にかなっています。
人は自分の体験からしか語れないし、その体験は自分が生きている環境に大きく影響されます。
したがって、バブル崩壊の痛みを体験した人が投資アレルギーを起こすのは、ごく自然なことです。
逆に、このことを理解していれば、身内や周りの人が投資の悪口を言っても大丈夫です。
含み損を出して辞めればよかったと周囲から言われても、前提である時代背景が違うと思えるようになるので続けられるようになります。
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投資を続けられない理由3:投資対象への思い入れや理解がないため
簡単に言うと、そこまで考えずに投資を始めてしまうのです。
例えば、銀行員に勧められて投資信託を買ったり、何となく人気があるからとアメリカの株を選んだり。
自分が投資している対象に対して、何の思い入れも理解もないまま投資してしまうことが、途中でやめてしまう原因だと思います。
投資信託にしろ個別株にしろ、投資とは自分の大切なお金を誰かに預ける行為です。
20年、30年と投資を続けていこうと思えば、よほどの信念や思い入れがないと無理ではないでしょうか?
あるいは逆に、信念や理解がないと、含み損を抱えたときに絶対に嫌になります。
「なんだよ、銀行の言うとおりにしたのに、金は減るし、インフルエンサー推奨株は下がるし、マジふざけんな」って感じです。
もちろん調子がいいときはいいんですけど、長期投資だと絶対不況になる時があります。
イメージ的には、結婚と似ていると思います。
結婚して誰かと一緒に過ごすと、その関係性の中で良い時もあれば悪い時もあります。
適当に結婚相手を選んでしまうと、喧嘩をしたりしたときに、本当にすぐに離婚したくなります。
そうでなくても、離婚する人が増えているのですから。
結婚は相手がいることですが、投資もこれに似ていて、理解しているつもりでも、暴落時には大変なことになります。
だからこそ、結婚相手や投資対象は、自分の理解と納得の上で選ぶ必要があるのです。
投資は、つみたてNISAなどの活用も含めて、焦って行うものではありません。
途中でやめてしまわないためにも、じっくり勉強して、自分に合っていると思う、惚れ込んでしまうような商品を見つけることをおすすめします。
投資を続けられない理由4:金銭的なプレッシャー
これもある程度、投資を続けられない要因になっているのかなと思います。
どういうことかというと、金融機関が自分の儲けのために、顧客に売買を繰り返させることがあるということです。
というのも、銀行などの金融機関が推進する投資信託は、基本的に信託報酬が高く、販売手数料や販売手数料も高いからです。
まあ、金融機関はこれらの手数料で儲けているわけですが。
購入や売却が多ければ多いほど、金融機関は利益を上げることができるのです。
その結果、定期預金が満期になったので、投資信託に変えてはどうでしょうか?
利益が出れば、こちらの方がリターンが期待できます。
もし、利益が出なければ、投資信託を手放して、こちらを購入するように提案されることもあります。
もちろん、この場合、1つの投資信託を保有する期間が短くなり、手数料が高いため、利益を出すことが難しくなります。
こうなると、投資を辞めたくなりますよね?
大前提として、銀行などの金融機関は基本的に営利企業ですから、自分たちが儲けることが最優先です。
彼らが最優先するのは自分たちが儲けることであって、あなたが投資で儲けることではありません。
そして、あなたを裕福にすることを一番に考えるのは、金融機関の営業マンではなく、あなた自身なのです。
幸い、ネット証券には販売手数料が無料、信託報酬も安い優良な金融商品がたくさんあります。
自分で勉強する必要はありますが、長く投資を続けるためには、ぜひネット証券を利用することをおすすめします。
関連記事:どんな人でも自分に合った投資ができる!この記事で資産形成の第一歩を踏み出すことができるはず
投資を続けられない理由5:誰もゆっくりお金持ちになりたいとは思わないから
これは、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットの言葉です。
バフェットの投資戦略は、基本的に長期投資です。
あるインタビューでバフェットは、「あなたの投資手法はとてもシンプルなのに、なぜみんな真似をしないのですか?」と聞かれたバフェットは、「誰もゆっくり金持ちになりたいとは思わないからだ」と答えています。
これが、多くの人が投資を続けない理由の真相だと思っています。
ほとんどの人が、お金持ちになりたいと思ったことがあると思うのです。
というか、そのために投資を始めたいと思っているはずです。
でも、その「お金持ちになりたい」という気持ちは、「30年後にお金持ちになりたい」ということではありません。
今、あるいは数年後にお金持ちになりたいということです。
だから、景気がいいときにはレバレッジをかけた投資をしたり、現金や債券をほとんど使わずに株式に資金を投入したり、短期間で儲かる投資先を探したりするのです。
しかし、リターンはリスクと隣り合わせで、大きなリターンを求めると失敗したときの代償は大きいです。
また、投資というのは先の見えない世界であり、誰も未来を獲得することはできません。
つまり、短期で一攫千金を狙えば、失敗のリスクが高まり、結果的に市場から退場することになるのです。
だから当然、投資を辞めざるを得なくなります。
ウォーレン・バフェットは10歳の時に投資を始め、1000億ドル以上の資産を築きました。
しかし、その成長の99%以上は65歳以降に起こったものです。
つまり、バフェットの成功は、地道に投資を続け、複利の恩恵を最大限に享受したことにあるのです。
ウォーレン・バフェットのようにはなれなくても、時間を味方につけることで、成功の可能性は確実に高まります。
投資は基本的にゆっくりお金持ちになるための手段であることを理解し、迷うことなく余裕のある範囲で投資を続けることが大切なのではないでしょうか。
関連記事:短期間で収益を狙える7つの方法についてと、メリットデメリットをご紹介します!
まとめ
目の前のパチンコ台が安定しているときに離れる人がいないように、投資もうまくいっているときにやめる人はいないでしょう。
また、長期投資の過程では、ほとんどの場合、予測できない暴落があります。
投資を続ける上で重要なのは、相場が自然に下がるのをじっくりと待てるかどうかです。
そのためには、投資に依存し過ぎない、期待し過ぎないということが大切だと思います。
毎年大きなリターンが得られるとか、すぐに一攫千金を狙えるなどと考えず、極端な話、投資をしていることを忘れるくらいの余裕を持つことです。
そのためには、マーケットがいいときは欲張らない、逆に相場が悪いときは楽観的になる必要があります。
現金や債券も保有することが大切です。
最近はお金を貯めても無駄だと思う人が多いようですが、相場が暴落したときのクッションになるのです。
そのクッションのおかげで含み損に耐え、結果的に継続することができれば、その貯金は本当に価値があると思います。
長期投資で一番大事なことは、相場から退場せずにできるだけ長く続けることです。
投資を続ければいいと思われがちですが、20年、30年と投資を続けるのは簡単なことではありません。
「言うは易く行うは難し」です。
この記事が、投資を続ける上で参考になれば幸いです。