今回は、「インボイス制度とは?小学生でもわかるように解説」です。
今回お送りする内容は
- インボイス制度を簡単に言うと?
- インボイス前とインボイス後の3つのパターンとは?
- 世の中には2種類の事業者しかいない。
- なぜ、大増税になる説と影響がない説があるのか?
ということで、今回はインボイス制度についてお話したいと思います。
今回は、インボイス制度が全く分からないという方、一度説明を聞いたけどまだよく分からないという方向けに、インボイス制度についてざっくりとお話ししたいと思います。
円周率を3.14と教えるのではなく、およそ3として教えるぐらいざっくりとお伝えしたいと思います。
インボイス制度の難しいところは、制度自体は導入が決まったものの、大増税になるのか、ならないのかが今のところはっきりしないことが、話をややこしくしています。
これは、消費税のルール変更に伴い、小規模な会社や商店、商売をしている人の納税額が増える可能性がある制度です。
2023年10月から開始される予定です。
具体的には、2023年9月以前の状況として、年商1000万円以下の小規模な会社、店舗、個人事業主、フリーランスの方は、取引先の会社から例えば、報酬として1万円を受け取ったとします。
その時、今は消費税が10%なので、1,000円が加算されます。
これが現在の状況です。
インボイス前の3つのパターン
年商1,000万円以下の小規模事業者の場合、2023年10月以降は3つのパターンに分かれます。
パターンAは、従来通り仕入先から1万1000円を受け取るが、最悪の場合、消費税1000円は全額税務署に納めなければならない。
パターンBは、そもそも消費税を受け取らないというものです。
パターンCは、消費税はそのまま受け取り、納める必要がない場合です。
この3つのパターンがあります。
なぜ、インボイス制度導入後、中小企業だけがこの3つのパターンに分かれるのでしょうか。
その理由は、現状にあります。
世の中には2種類の事業者しかいない
年商1,000万円未満の事業者は消費税をもらうだけで済んでいますが、1,000万円を超える事業者は消費税の何割かを税務署に納めなければなりません。
つまり、税務署としては、小規模事業者は消費税を納める手間や消費税の申告に必要な事務が大変なので免除してあげると言っているのです。
ちなみに、1,000万円未満と1,000万円以上には、もっと細かい基準があるのですが、大雑把に言うと、こういう分け方だと思ってください。
1,000万円未満は消費税を払わないので、「免税事業者」と呼ばれます。
しかし、消費税は受け取っています。
受け取っていても支払わなくてもいいのです。
これは「益税」と呼ばれ、中小企業が自主的に頑張るための支援制度です。
一方、年商1,000万円以上の事業者は、消費税がかかるので「課税事業者」と呼ばれます。
しかし、2023年10月にインボイス制度が始まると、非課税事業者は消費税を受け取れなくなる可能性があります。
それが先ほどの3つのパターンのうち、Bのパターンです。
では、1,000万円以上の人はどうなるのかというと、消費税はこれまで通りもらうので、基本的には変わらないです。
ただインボイス制度は手間暇がかかります。
インボイス制度とは?
では、インボイス制度とは何か、具体的にお話ししたいと思います。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、お金を受け取ったときは、基本的に請求書を発行します。
あるいは、お金を受け取った後に領収書やレシートを発行します。
2023年9月までは、基本的に請求書は何でもいいのです。
しかし、インボイス制度が導入される2023年10月以降は、国が認めていない請求書を発行した場合、受け取った会社は消費税の経費にすることができなくなるのです。
もう少し説明すると、売上から経費を差し引いた残りの利益に対して税金が課税されます。
これが基本形です。
消費税も同じです。
消費税における売上と経費の差額は、税務署で課税されます。
このとき、「経費にならない請求書」と言われると、会社側は「経費にならないのなら、この請求書はいらない」となってしまいます。
したがって、国が認めていない請求書を受け取った側は、「消費税を払わなくていいのでは」と言うことができます。
ですから、今まで11,000円受け取っていた人が、消費税を抜いた1万円しかもらえなくなる可能性が出てくるのです。
そこで、どうすればいいかというと、国が認めた請求書を発行すればいいのです。
この請求書を「適格請求書」といいます。
これが一般にインボイスと呼ばれています。
インボイス制度で重要なのは、この適格請求書を発行することです。
この場合、消費税における経費になりますから、消費税は会社側が喜んで消費税を払ってくれます。
この適格請求書、具体的にどういうものかというと、登録番号のついた請求書です。
ですから、2023年10月以降、多くの請求書、領収書、レシートに登録番号が記載されることになります。
具体的には「T」から始まる13桁で、例えば、国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト(https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/)でこの13桁の番号を入力すると、「この事業者は適格請求書をきちんと発行できる事業者である」と国が認めているという証明がわかります。
ただし、国から認められるには条件があります。
それは、消費税をきちんと納税することです。
そのため、今までは年間売上高1,000万円以下の事業者は非課税でしたが、インボイス発行可能事業者として登録すれば、売上高1,000万円以下でも課税事業者になるのです。
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インボイス後の3つのパターン
最後に、2023年10月のインボイス制度導入後、小規模事業者が3つのパターンに分かれることをお伝えしました。
具体的にどのようなことが起こるのか、見ていきましょう。
まず、パターンA。
売上高が1,000万円以下でも消費税をもらうために課税事業者になるパターンです。
そのため、インボイスを発行して消費税を受け取ります。
そして、受け取った消費税の何割かを納めるわけですから、1,000円受け取ったら、最大で1,000円の税金を納めることになります。
しかし、売上高が5,000万円以下の場合は、「簡易課税」という制度があります。
この場合は、受け取った消費税額の何割かを納めれば結構ですよというものです。
具体的には、サービス業であれば50%、小売業であれば20%の納税で済むという制度です。
この簡易課税を選択すれば、消費税の申告手続きもかなり簡略化できますので、売上高が5,000万円以下の場合は、簡易課税がおすすめです。
パターンBは、消費税がもらえないケースです。
2023年10月以降も免税事業者であり続ける場合、取引先の判断で消費税を受け取れなくなるケースです。
つまり、売上が10%近く減ることになります。
パターンCは、免税事業者のままでも、取引先が従来通り消費税もあげますよという会社もあると思います。
特に取引先が一般消費者である場合は、この傾向が強いです。
この場合、受け取った請求書やレシートがインボイスであるかどうかはあまり気にしない人が多いのであれば、このパターンCが採用されると思います。
この場合、消費税はもらえるし、税金は払わなくていいので、これまで通りということですね。
まとめ
インボイス制度は、国公認の請求書。
つまり適格請求書、これをインボイスといいます。
これが導入されるというのがインボイス制度です。
これにはレシートも含まれます。
なぜこの制度が導入されたのか簡単に言うと、財務省の悲願だったのです。
インボイス制度導入で大きな損失が出るか出ないかは、取引先次第です。
つまり、人によります。
具体的に言うと、消費税を従来通り払うか払わないかは、法律で決めるのか、商習慣で決めるのか、まだはっきりしていません。
インボイス方式を導入して大きな損失が出るのか、あまり影響がないのかは、5年後、10年後を待つしかないでしょう。